オーナーチェンジ物件には賃借人が住んでおり賃料の支払いを受けますが、立地や環境がよければ自分が住みたいと思うことも多いです。
また、オーナーチェンジ物件に自ら住むことによるメリットも多いですがデメリットもあるため、自ら住む場合は慎重に検討する必要があります。
そこで、この記事ではオーナーチェンジ物件に自分が住むことのメリットとデメリットについて解説します。
オーナーチェンジ物件に自ら住むメリット
オーナーの家賃と相殺
オーナーチェンジ物件に自ら住むことで、オーナーが支払う家賃と家賃収入を相殺させ収支バランスを取ることができます。
そのため、入居者が退去してしまったマンションの一室や戸建てのオーナーチェンジ物件であれば、再募集せずオーナーが居住することを検討しましょう。
オーナーチェンジ物件は一度入居者が決まってしまうと追い出すことが難しいです。
そのため、駅近などマンションの立地が良い場合はあえて家賃収入を得るよりも自ら居住するという選択もあります。
売却時に税制優遇を受けることができる
居住していることが証明でき住民票もオーナーチェンジ物件の一室にある場合には、国税庁が公開している「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」を受けることができます。
この特例は不動産を売却する際の譲渡所得税に対し、譲渡所得課税額から3,000万円を差し引くことができるという内容です。
そのため、オーナーチェンジ物件の一室に住むことは売却時に大きな税制優遇を受けることができるでしょう。
なお、譲渡所得課税額は次の計算式によって算出されます。
売却価格-売却時の諸費用-マンション一室の購入価格-マンション一室の購入諸費用
ただし、この特例は収益物件として1度でも一室を利用した場合は使用することができません。そのため、最初からオーナーが住む必要があることを知っておきましょう。
オーナーチェンジ物件に自ら住むデメリット
住宅ローンを組むことができない
住宅ローンは「居住用財産」に対しての融資となっており、全ての金利で最安値となる傾向があります。
そのため、オーナーチェンジ物件に自ら住むのであれば住宅ローンを利用したいところですが、オーナーチェンジ物件はあくまでも投資のため住宅ローンは使えません。
オーナーチェンジ物件を購入するために利用できるローンは投資用ローンとなり、住宅ローンよりも金利が高くなります。
また、投資用ローンは住宅ローン控除を受けることができません。
住宅ローン控除は年末の住宅ローン残債に対し、最大0.7%の所得税が13年間継続して還付される制度ですが、この制度は住宅ローン利用者のみが利用できます。
このように、オーナーチェンジ物件に自ら住むことで家賃収入がなくなるだけでなく、通常の不動産に住むよりもランニングコストが高くなることを知っておきましょう。
すぐに住むことができない
そもそもオーナーチェンジ物件には既に入居者がいるため、すぐには住むことができません。さらに賃貸借契約に期間の定めがない場合、最長で50年間使用することができます。
つまり、入居者が出て行ってくれない限りは住むことができず時期も不明ということになります。
また、入居者を強制的に退去させるためには「正当な事由」と「立ち退き料」が必要になり、立地が良いから自分が住みたいという理由は正当な事由にはなりません。
そのため、オーナー都合により入居者を追い出し自ら住むことは非常に難しいといえるでしょう。
住民の対応に追われることもある
このケースはオーナーチェンジ物件が一棟アパートで、オーナーが一室に住む場合に起きるデメリットです。
一棟アパートに住むことで物件管理がしやすく、投資面でもメリットはあります。
しかし、住民は大家が住んでいることで要望を伝えやすくなり、オーナーは住民の対応工数が増えてしまいます。
また、住民間のトラブルがあれば仲裁に入ることもあり、ストレスを抱えるオーナーも多いです。
そのため、一棟アパートの一室に住む場合には大家であることを伏せておくか、住民のトラブルには基本的に干渉しないことを伝えておく必要があります。
減価償却を使うことができなくなる
オーナーチェンジ物件に住むことで不動産取得という項目で確定申告をする必要がありますが、初期投資費用を減価償却による経費として計上し節税することができます。
しかし、自ら住む場合は投資用不動産ではなく居住用不動産となるため減価償却を利用することができず、税金が増えてしまいます。
そのため、オーナーチェンジ物件に住むことで前述したランニングコスト以外にも負担が増えることを知っておきましょう。
まとめ
オーナーチェンジ物件の資産価値が高く立地が良い場合には、自ら住むことを検討するオーナーも多いです。
ただし、自ら住むことにはメリットもデメリットもあり、住んだ後に後悔するケースもあります。
特に税制面において大きな損失を生むことがあるため、慎重に検討する必要があるでしょう。
そのため、オーナーチェンジ物件にオーナー自ら住む場合にはこの記事で解説したメリットとデメリットを十分に検討し、決断しましょう。